肺線維症で障害年金を受け取れる場合

文責:所長 弁護士 本吉政尋

最終更新日:2025年07月11日

1 肺線維症は障害年金を受給できる可能性があります

 肺線維症は、肺の組織が線維化して、呼吸がしづらくなり、息切れや咳が出やすくなる病気です。

 肺線維症に罹患している場合は、「呼吸器疾患による障害」として、障害年金を受給できる可能性があります。

2 肺線維症の障害認定基準

 肺線維症による呼吸不全が起こっている場合、「呼吸器疾患による障害」の認定基準の中の呼吸不全の認定要領が適用されます。

 呼吸不全の認定要領では、呼吸不全とは、原因のいかんを問わず、動脈血ガス分析値、特に動脈血O2分圧と動脈血CO2分圧が異常で、そのために生体が正常な機能を営み得なくなった状態のこととされており、障害年金が受給できるケースとして以下の場合が例示されています。

 

⑴ 1級

 動脈血ガス分析値及び予測肺活量1秒率の検査成績が高度異常を示すもので、かつ、身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、 活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの。

 

⑵ 2級

 動脈血ガス分析値及び予測肺活量1秒率の検査成績が中等度異常を示すもので、かつ、身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの、または、歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの。

 

⑶ 3級

 動脈血ガス分析値及び予測肺活量1秒率の検査成績が軽度異常を示すもので、かつ歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの、または、軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの。

3 呼吸不全の等級認定

 認定要領では、障害の程度の判定にあたっては、動脈血ガス分析値が優先されるとされています。

 また、動脈血ガス分析値には動脈血O₂分圧と動脈血CO₂分圧があり、動脈血O₂分圧を重視するとされています。

 その上で、上記2の認定要領はあくまで例示ではあるものの、実際にはこの例示にあてはめて等級が認定されることが多い傾向にあります。

 また、24時間在宅酸素療法を行っており、一定程度労働に制限がある場合には3級と認定され、臨床症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定するとされおり、その際の検査成績及び具体的な日常生活状況についても、上記2の例示にあてはめて等級が認定されることが多い傾向にあります。

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